小規模事業者の採用戦略

 小規模事業者はもちろんのこと、ある程度の規模がある中小企業や歴史のある中堅企業でも「優秀な人材がこない」という嘆きの声をしばしば耳にすることがあります。程度の差はあれど、人材に関する悩みはどの企業も共通のようです。

 例えば業界を代表するような大手企業の場合は、知名度やブランド力もあり、いわゆる「優秀な人材」がくるかもしれません。しかし、そのような企業以外は、どうしてもこの会社で働きたいというような特別な思い入れでもない限り「優秀な人材」から積極的に選ばれるということは難しいでしょう。つまり、小規模事業者や中小零細企業が最初から「優秀な人材」を雇入れる確率はもともと高くないということです。小規模事業者や中小零細企業の経営者はまずこの認識をもつことが重要だと思います。

 最初から「優秀な人材」はこないものだという視点からスタートすれば、「優秀な人材がこない」という嘆きはまったく無用のものとなります。そして、次に抱く視点は「どうしたら優秀な人材に成長してもらえるか」です。入社時点では優秀な人材でなくとも、自社の経験を通じて自社にとって優秀な人材に成長していってもらえれば良いのです。

 人材の成長については、もちろん様々な要素が複雑に絡み合って成長を成していると思いますが、やはり「教育訓練」は重要な主要素であると考えます。事業所も人も決して同じものはありませんので、それぞれの事業所、それぞれの人にあわせたきめ細かい教育訓練を行うことが必要です。型にはめられた形式的なものではたいした成果はあがりません。「教育訓練」は具体的な内容ももちろん重要ですが、それ以上に「教育訓練」自体の質の高さが重要になります。

 「優秀な人材」がこないと悩んでいる小規模事業者の方は、「優秀な人材」に成長させる自社の環境整備にぜひ注力していただきたいと思います。

2020年07月01日